百日咳ワクチン

百日咳とは

百日咳は「百日咳菌」(Bordetella pertussis:ボルデテラ・パータシス)というグラム陰性桿菌(グラム染色で赤く染まる細長い棒状の細菌)に感染して発症する急性の呼吸器感染症です。激しい咳が特徴的で感染力が強く、乳児がかかると肺炎や脳症を併発する(≒重症化する)ことがあります。

百日咳は治るか

百日咳は7~10日の潜伏期間の後に発症します。

最初の「カタル期」(1~2週間)では、風邪に似た症状がみられます。微熱・鼻水・軽い咳などが中心で、この段階では診断が難しいようです。

次に「痙咳(けいがい)期」(2~4週間)に入ると、百日咳特有の強く連続した咳発作が現れるようになります。咳のあとに「ヒュー」という笛のような吸気音が出るのが典型的です。

最後の「回復期」(数週間~数か月)では、咳が徐々におさまっていきます。

百日咳の予防と治療

百日咳の予防にはワクチン接種が最も効果的です。

日本では、2024年4月から5種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、ヒブ)を生後2か月から定期接種します。

※ それまでは4種混合ワクチンとヒブワクチンを接種

百日咳の治療

他者への感染力が高い「カタル期」は、マクロライド系の抗菌薬を投与することで感染力を下げることができます。「痙咳(けいがい)期」以降になると細菌が体内にほとんど残っていないために、抗菌薬の効果は限定的です。百日咳の咳症状は菌が産生する毒素によるものだからです。

最後に豆知識

現在、百日咳の単独ワクチンは本邦に存在しません。

百日咳のワクチンを含む混合ワクチンは以下の3種類が存在しています。

3種混合ワクチン:他にジフテリア、破傷風のワクチンを含みます。

4種混合ワクチン:他にジフテリア、破傷風、ポリオのワクチンを含みます。

5種混合ワクチン:他にジフテリア、破傷風、ポリオ、ヒブのワクチンを含みます。

百日咳の発生状況

今年はかなり流行しているようです。

詳細は以下をご覧ください。

250422_JIHS_pertussis

※ 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト よりダウンロード

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました